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リカバリーストーリー

 先日、自分の「リカバリーストーリー」をお話しする機会がありました。リカバリー(回復)ストーリーとは、病気などからの立ち直りの体験談のことを言います。私は、うつ病を経験して、そこから感じたことや学んだことをお話しさせていただきました。


 病気になって感じたことのひとつは、うつのしんどさが、それまで自分が考えていたものとは全く違ったということです。言い換えれば「しんどさの質が違う」とでも表現したらいいのでしょうか。それは、これまでに経験したことのない辛さでした。そして、いつ晴れるともわからない、どんよりとしたうつの霧の中で、ただ苦しみながらじっと耐えるしかない、そんな感じでした。この時に「これでは、うつになった人はしんどいはずだ」と身にしみて感じました。そして、「その身になってみないと、本当のところはわからないのだ」ということを、学んだように思います。

 

 ただ、それと同時に今、思うのは「本当の意味では、相手のつらさはわからないかもしれないけれど、その方の気持ちやしんどさを、親身になって想像して、共感をもって寄り添うことが大事なのではないだろうか。そして、それは相手にとっても大変、大きな支えになる」ということです。私自身、そのように自分に関わって下さる方々に、今も支えてもらっています。


 リカバリーというと、病気の前の状態に戻ることと思いがちですが(私はそう思っていました)、ある言葉に出会って、はっとさせられました。



  「弱さ」の力


 弱さとは、強さが弱体化したものではない。


 弱さとは、強さに向かうための一つのプロセスでもない。


 弱さとしての意味があり、価値がある。


 このようにべてるの家には独特の「弱さの文化」がある。「強いこと」「正しいこと」  に支配された価値のなかで「人間とは弱いものなのだ」という事実に向き合い、そのなか

 で「弱さ」のもつ可能性と底力を用いた生き方を選択する。 


      (引用:べてるの家の理念 https://urakawa.bethel-net.jp/philosophy



 この言葉は、北海道の浦河にある「べてるの家」のホームページにあったものです。


 正直、私はまだ「自分の弱さに向き合う」ということと、「病気でなかったかのように元気にふるまいたい (強くありたい)」という気持ちの間で揺れる時もあります。しかし、「弱さには意味があり、価値がある 」との言葉の意味するところを考え続けながら、これから生きていくうえで大切にしていきたいと思います。

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